ホワイトディンゴ隊について
君はホワイトディンゴ隊を知っているか
前回予告した通り、本記事では一年戦争時のオーストラリア方面軍に展開する特殊MS遊撃部隊「ホワイトディンゴ隊」について解説していく。
今回記事を書くにあたって参考にする資料は、
角川コミックス・エースから出版されているコミック版の「機動戦士ガンダムGROUND ZERO コロニーの落ちた地で」
である。この作品は他にも小説やゲームなど、幅広くメディア展開されているが、この作品が一番最後に出たものであるため、他作品との矛盾なども生じにくいだろうと考え今回の資料とすることにした。彼らの活躍はゲームや小説でも知ることができるため興味のある人はぜひプレイ、購読していただきたい。
では解説に移っていこう。
コロニーの落ちた地で
まず、コロニーの落ちた地でについての解説を挟むことにする。
UC0079年11月22日(ホワイトベース隊がベルファストにいる頃)、オーストラリア大陸で連邦軍の大規模反抗作戦が開始。大陸内の重要な3か所のポイントに3つの主力部隊を送り同時攻撃を行い、一気に大陸全土を掌握しようという目的であった。
第一主力部隊「レッド・ポッサム」が大陸中央部のアリス・スプリングス方面
第二主力部隊「グリーン・イキドナ」が大陸北部のダーウィン方面
第三主力部隊「イエロー・クオッカ」が大陸南部のアデレード方面
上記の主力部隊とは完全に独立して機能する特殊遊撃部隊が存在した。それが今回紹介する「ホワイトディンゴ」である。
※漫画版ではホワイトディンゴの所属する基地はトリントン基地と描写されているため、地図上に掲載。
ホワイトディンゴ隊の編成
MSの編成
・MS3機、ホバートラック(オアシス)1機の一個小隊。
ジム(RGM-79)2機・ジムキャノン(RGC-80)1機→(RGM-79)ジム2機・(RX-77D)量産型ガンキャノン1機→(RX-77D)量産型ガンキャノン3機→(RGM-79SP)ジムスナイパーⅡ3機
の順番で機種転換を行っている。
ホワイトディンゴ隊のメンバー
・マスター・P・レイヤー
同隊隊長。中尉。元戦闘機パイロットであり、オーストラリア大陸出身。MSの操縦技術に長けているが、超人的な域ではなく、格闘よりも射撃に優れている。
・レオン・リーフェイ
少尉。元戦車兵であり寡黙な人物。不可解な言動などが多く、同隊メンバーらから疑いの目を向けられるが、実はジャブロー総司令部直属の諜報員であった。トリントン基地内に秘匿されている「核兵器」の防衛を主任務としている。
・マクシミリアン・バーガー(マイク)
少尉。元軍楽隊であり、MS適性検査の結果パイロットに抜擢され、同隊に配備される。連邦軍のプロパガンダ放送「DJ・ジャクリーン」の大ファンであり、自身のMSにも「ジャクリーン」と愛称をつけている。
・アニタ・ジュリアン
軍曹。ホバートラック(オアシス)を操縦し、MSパイロットをバックアップするオペレーター。
電子戦、情報戦に長けている。
・ボブ・ロック
・スタンリー・ホーキンス
大佐。オーストラリア方面軍司令官であり、特務部隊であるホワイトディンゴ隊の直属の上司。レイヤーのことを深く信頼しているからこそ困難な任務を与えることもある。優秀な司令官。
・オリヴィア・グラント
シドニー出身の地質学者。故郷がコロニー落としで消滅したため、軍人を憎んでいる。スタンリー大佐の命令でホワイトディンゴ隊に同行する。
アスタロスの研究、開発に携わっていた。(兵器として研究される前の農業生産性向上を目的とした植物の開発)
ホワイトディンゴ隊の足取り
ホワイトディンゴ隊の足取りをスタンリー大佐のセリフなどから読み解いていく。同日に他の作品では何が起きていたのかも、時間軸を知るうえでの補助となるので記述していく。下図は大体の位置取りを示したものである。
①レイヤー以下ホワイトディンゴ隊、トリントン基地着任(UC0079年11月22日)
新型機ジム(RGM-79)の受領。オリヴィア博士との接触。スタンリー大佐からの任務通達。
※RGM-79の配備本格化がUC0079年11月20日とされているため、ジャブローから直接ミデアで運搬されてきたと思われる。
同日、連邦軍のオーストラリア反抗作戦が開始。
②レインボゥ・ヴァレーへの出撃(UC0079年11月23日)
アリス・スプリングスに向かう主力部隊「レッド・ポッサム」の侵攻ルートに存在するレインボゥ・ヴァレーにジオン軍の対空砲台、防衛部隊の排除が任務。
対MS‐06J戦。任務成功。
同日、ジオン公国突撃機動軍が「ニュータイプ部隊」設立。(機動戦士ガンダム)
③アリス・スプリングスへの出撃(UC0079年11月25日)
「レッド・ポッサム」のアリス・スプリングス侵攻の支援。敵部隊への陽動、アリス・スプリングス南北に存在するトーチカの破壊が任務。なお、今回の任務ではアリス・スプリングスの民間人への被害は最小限に抑えなければいけないとされる。(アリス・スプリングスは連邦軍にとっても重要な拠点であり、民間人から反感をもらうわけにはいかないため。)
対MS-05、MS-06J、MS-07B戦。任務成功。(停戦)
④シンプソンズ・ギャップへの出撃(UC0079年12月1日)
ダーウィン基地から飛び立ったガウ攻撃空母に「レッド・ポッサム」が爆撃される可能性が出てきたため、シンプソンズ・ギャップにてガウ攻撃空母を待ち伏せ、これを破壊することが任務。
対MS‐06J、マゼラアタック、ガウ攻撃空母戦。任務成功。
同日、公国軍大佐ノリス・パッカード戦死。(機動戦士ガンダム第08MS小隊)
⑤キャリートン近郊への出撃(UC0079年12月18日)
アデレード北部のキャリートン近郊に存在する鉱山基地の殲滅が任務。アデレード基地に存在するジオン軍の反抗が激しいため、戦力を減らしに行くことが目的とされる。任務の最中、不時着しようとする連邦軍の輸送部隊「オレンジ・アイビス」に遭遇。同隊が「ホワイトディンゴ」に運んできたRX-77Dに急遽搭乗。
対MS-06J、MS-07B戦。任務成功。
同日、「第11独立機械化混成部隊」がハミルトン基地へ到着。(機動戦士ガンダム外伝THE BLUE DESTINY)
⑥アデレード基地沿岸暗礁地帯の警備任務(イエロー・クオッカとの共同任務)(UC0079年12月23日)
アデレード基地に残る残党の掃討及び、アデレード沿岸に建造されているとされるジオンの未確認建造物の破壊が任務。レイヤーは「骨休めだ」と考える。
対MS-06J、MSM-03、ユーコン級潜水艦戦。任務成功。
⑦ブロークン・ヒル鉱山基地への出撃(UC0079年12月25日)
アデレード基地からヒューエンデンHLV基地へ移動するキシリア麾下の特殊部隊「マッチモニード」が、補給で立ち寄るブロークン・ヒル鉱山基地でこれを追撃することが任務。
マッチモニードの擁する「アスタロス」は地球の環境を破壊しかねない環境破壊生物兵器であるため、極秘の任務とされる。あくまで「アスタロス」の確保が任務であって、破壊は極力避ける必要がある。(研究のため)
また、「ホワイトディンゴ」に同行していたオリヴィア博士はこの「アスタロス」に対し造詣が深い。そのためスタンリー大佐はレイヤーにこの女性の同行を言い渡した。
対MS-07B戦。任務失敗。(マッチモニードに遭遇しなかったため)
同日、公国軍「サイクロプス隊」の残兵であるバーナード・ワイズマン伍長が連邦軍の最新鋭機を大破させる。(機動戦士ガンダム0080~ポケットの中の戦争~)
⑧トリントン基地防衛任務(UC0079年12月26日)
公国軍特殊部隊の「マッチモニード」がトリントン基地に秘匿されている「核兵器」の奪取を画策。トリントン基地の防衛に当たるはずのチャールビル基地がジオンの猛攻を受け、トリントン基地の救援に向かえない。そのため「ホワイトディンゴ」が「マッチモニード」の対処に当たる。
公国軍「月の階段」発令。オーストラリア全土からの撤退を開始。
対MS-09戦。(任務成功)※ドナヒュー中尉の協力もあり。
⑨ヒューエンデン要塞破壊任務(UC0080年1月1日)
ヒューエンデンHLV基地へ侵攻する際の障害となるヒューエンデン要塞の破壊が任務。
対アッザム戦。任務成功。
※オーストラリア方面軍に停戦合意の旨が伝わっていなかった。※
⑩ヒューエンデンHLV基地破壊、アスタロスの確保任務(UC0080年1月2日)
打ち上げられる「アスタロス」の破壊、確保を最優先として基地への攻撃を開始。
「ホワイトディンゴ」に最新鋭機のRGM-79SPが届けられる。同機に機種転換。
対ライノサラス、MS-07B、MS-14G(ドナヒュー機)戦。任務成功。
※「アスタロス」を搭載したHLVを破壊、オリヴィア博士立ち合いの元、これの消滅を確認。オーストラリア方面に存在していた「アスタロス」は排除される。
※任務成功はドナヒュー中尉や、公国軍、「ホワイトディンゴ」など様々な勢力の思惑が重なった結果であるため、単独での任務成功とは言えない。
以上が、「ホワイトディンゴ」の足取りである。
ホワイトディンゴ隊という部隊
わずか1か月半の間にこれだけの作戦に参加し、戦果を挙げているため、エース部隊と言って間違いないだろう。作中内でも語られているが、パイロット1人1人の能力はこれといって秀でるものでは無かったが、それぞれのパイロットが相手を信頼し、連携していくことでこれだけの戦果を挙げることができたのだろう。
「ホワイトディンゴ」のメンバーのその後はわかっていないが、一年戦争を生き残り、これだけの戦果を挙げているため、後年ティターンズに編入された可能性もあるだろう。(レイヤーは地球出身であるため特に可能性が高い)
本記事ではホワイトディンゴの足取りのみを追ってきたが、作品内ではドナヒュー視点、マッチモニード視点など様々に分かれているため、より深く一年戦争時のオーストラリアの動きが読み取れる。また本ブログでも取り上げるかもしれないので楽しみに待っていていただきたい。
今回も長くなってしまったため、次回「アスタロス」についてまとめていこうと思う。
前回取り上げた「ジョニー・ライデンの帰還」とも深く関わってくるため、ぜひ読んでいただきたい。